外国で商標権を取得するには

商標の保護は、世界的に属地主義(その国の範囲内でのみ保護される)が採用されています。従って、日本において商標登録をしたとしても、その効力は外国には及ばないため、別途、外国で商標登録出願をして、商標権を取得する必要があります。

外国で商標権を取得するには、以下の3つの出願方法があります。

1.各国直接出願

国ごとに現地の代理人を通じて、直接その国の庁に商標登録出願の手続きを行います。台湾や香港のように、マドリッド協定議定書(マドプロ)の締約国でない国を対象とする場合や、出願対象国が少数で条約に基づく出願を利用するコストメリットが得られない場合などに、各国直接出願が選択されます。

現地の代理人を通じて出願手続きを行うため、法改正の情報や、商標の識別力、商標の持つ意味、商品・役務の表示などについてアドバイスを受けたり、中間応答について迅速な対応ができるなどのメリットがあります。

一方、出願時に各国ごとの代理人費用がかかるため、複数国に出願する場合は初期費用の負担が大きく、商標権の維持・管理を国ごとに行わなければならないなどのデメリットがあります。

2.国際登録出願(マドプロ出願)

マドプロ出願は、日本国特許庁に基礎となる商標登録出願又は商標登録があり、それと同一の商標で、指定する商品・役務が同一又はその範囲内であることを条件に、マドプロ締約国の中から権利を取得したい国を指定して、日本国特許庁を通じてWIPO(世界知的所有権機関)の国際事務局に出願手続きを行います。

1通の出願書類をWIPOに提出すれば、複数国に同時に直接出願するのと同等の効果を得ることができ、出願時の代理人費用を節約できます。また外国商標の一元的管理が可能となるなどのメリットがあります。

一方、日本での商標登録出願又は商標登録を基礎として出願を行わなければならず、国際登録の日から5年の間に、基礎となる出願が拒絶されたり、登録が取消・無効になった場合には、国際登録も取り消される(セントラルアタック)などのデメリットがあります。

マドプロ出願のメリット・デメリットの詳細については、こちらの記事をご参照ください。

3.欧州連合商標出願(EUTM出願)

欧州連合知的財産庁(EUIPO)に対して、商標登録出願の手続きを行います。
1つの出願で、EU加盟国全体をカバーする商標権を取得することができます。

権利を取得したい国を指定する必要はなく、EUIPOに対して1つのEUTM出願を行えば、EU加盟国の全てに自動的に出願されたことになり、更新や住所変更等の手続きを一括で行うことができます。また、加盟国の一国で使用していれば、不使用による取消を免れることができるなどのメリットがあります。

一方、拒絶となった国を部分的に削除することはできないため、1か国でも登録できない国があるとEUTM全体が拒絶されます(通常の各国出願に変換することは可能)。相対的拒絶理由(先行商標との類否)の審査は行われず、先行類似商標の権利者(EUTM及び国内登録)に異議申し立てをするかどうかが委ねられますので、潜在的異議申立の危険性があります。また、商標権は、国ごとに譲渡することはできず、全加盟国一括の譲渡となるなどのデメリットがあります。

詳細については、こちらの記事をご参照ください。

 

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