マドプロ出願のメリット・デメリット

外国で商標を登録する方法の1つに、マドリッド協定議定書(以下、「マドプロ」という。)に基づく国際登録出願(以下、「マドプロ出願」という。) があります。

マドプロ出願は、マドプロ締約国(2020年4月現在106ヵ国)の中から権利を取得したい国を指定することにより、複数国に同時に直接出願するのと同等の効果を得ることができます。


1.出願の手続き

日本国特許庁に基礎となる商標登録出願又は商標登録があり、それと同一の商標で、指定する商品(役務)が同一又はその範囲内であることを条件として、英語で作成した1通の出願書類を、日本国特許庁に提出して行います。

日本 基礎出願/基礎登録

出典:特許庁HP

2.マドプロ出願のメリット・デメリット

(1)メリット

〇経費の削減
各国の代理人を使わずに出願できるので、出願時のコストを削減できます。

〇出願手続きが簡易
1通の出願書類で指定国全てに対応できるので、書類をご準備いただく負担が軽減されます。

〇迅速な審査
各指定国の審査期間が、国際事務局の通知日から1年(若しくは18ヵ月)以内に制限されているので、審査期間が制限されていない各国への直接出願と比較して、ファーストアクションの時期が明確です。

〇権利の一括管理
更新や名義変更等の手続は、国際事務局に対して1通の書類で行うことができ、また1つの登録番号で管理ができるので、権利の一括管理が可能となり、各国における管理負担が軽減されます。

〇事後指定による権利の拡張
マドプロ出願時に指定しなかった国、及び、新規加盟国に対して、事後指定により、国際登録の保護を拡張することができ、また、事後指定の国も、同じ登録番号で管理することができます。

〇その他
米国は、通常、登録のために使用証拠の提出が必要ですが、マドプロ出願は不要ですので、使用を開始していない商標についても登録することができます。ただし、登録後は通常の米国出願と同様に、米国登録日から5~6年の間、及び、10年ごとに使用証拠を提出する必要があります。

(2)デメリット

〇日本の商標出願又は商標登録が必要
同一の商標が、日本国特許庁に出願(基礎出願)又は登録(基礎登録)されている必要があります。

〇指定商品・指定役務の制限
基礎出願・基礎登録の指定商品・指定役務と同一か、その範囲内とする必要があります。

〇基礎出願・基礎登録への従属性
基礎出願又は基礎登録が、国際登録日から5年を経過する前に拒絶、無効等になった場合は、国際登録も取消となります(セントラルアタック)。救済措置として、各指定国において国際登録を国内出願へ変更することができますが、その手続きに係る費用が発生します。

〇商品等表示の補正の必要性
指定商品・指定役務の表示を各国の審査基準に合わせて出願することが難しいため、拒絶理由通知等を受ける可能性が高くなります。

〇指定国の数によっては経費削減が困難
出願時に、現地代理人費用はかかりませんが、WIPOへの手数料が発生するため、国によっては、3か国以上指定しないと出願コストの削減が難しい場合があります。

〇その他
中国においては、マドプロ経由の登録商標が看過されて、後に類似する商標が別途登録されてしまう等、審査等において不利に働くケースが多く見られ、また、登録証も発行されないなどのデメリットがあります。

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