タイ商標:タイの模倣品対策について

模倣品対策について
模倣品対策は​、海外に事業展開される皆様にとって大変頭の痛い問題ではないかと思います。この動画では、タイでは、模倣品がどのようにして取り締まられるのか、摘発までの一般的なプロセスについて、具体的に説明していきます。現地から模倣品について報告があったときに、どのよう対策を取ることができるのか、ということをまず知っていただいて、貴社における模倣品対策をイメージしていただく手助けになれば幸いです。

タイの模倣品問題の背景
タイでは、なぜ模倣品が横行しやすくなっているのでしょうか?第一の理由として、タイの平均所得は過去に比べて向上している傾向にありつつも、ブランドの正規品を購入できるほどの水準にはないということが挙げられます。第二に、若者の人口比率が高く、いわゆる「ブランド志向」が強いという傾向があり、模倣品が横行しやすくなっているという状況にあります。そして第三に、商標の権利化プロセスが遅いといった点や周知著名商標の保護が弱いといった点も模倣品が横行する要因になっていると言えます。

一般的な摘発のプロセス

1.初動調査(現地の販売状況の確認)
多くの場合、現地の販売代理店等から模倣品の情報が日本の本社側に上がってくることによって、模倣品の存在が判明します。模倣品を販売している現地の販売代理店等から入手した情報に基づいて、可能性のある不審なショップや場所を調べていきます。現地の販売代理店ヒアリングを行える場合は直接情報を収集します。

2.現地調査(ネット・実店舗)
続いてネット販売での被害調査を行います。対象商品を販売する店舗や場所を見つけるために、販売ウェブサイト、チラシ、実店舗などさまざまなソースからすべての情報を検索して収集します。まずはタイで大手の販売ウェブサイトである「ラザダ」や「ショッピー」というサイトから模倣品の商品名を検索して被害状況を調べます。

そしてネットで収集した情報に基づいて現地店舗の住所を割り出します。現地に訪問し、証拠を購入、あるいは顧客を装ってアプローチして模倣品かどうかを確かめていきます。

3.警察への証拠提出
タイの警察には管轄があります:

●DSI = 国家レベルの甚大な被害などを対象とする
●ECD= 経済を悪用した犯罪のみを対象とする

集めた証拠から、これらいずれの管轄になるのかということを調べます。管轄が判明したらその警察の経済被害を担当する部署へ訪問して被害状況を説明します。場合によってはさらなる調査を行って警察が要求する情報を提出します。例えば登録商標と模倣品の標章の比較などを要求される場合があります。

4.承認及び裁判所命令の取得
我々の提出した証拠に基づいて警察が実際に状況を確認します。実際に現地を確認した後に承認の可否を決定して裁判所命令を取得します。

5.摘発の実施
さまざまな要件を満たして、裁判所命令が習得できれば摘発が実施されます。通常は警察の証拠提出から2ヶ月前後で摘発が実施されます。

まとめ

模倣品を完全に排除するということはある意味不可能に近いことではありますが、一定の目標を定めてそれを実行することによって、正規品の売り上げの回復に大きな効果をもたらします。本動画と記事でご説明したような大がかりな摘発だけでなく、例えばネット販売において模倣品を排除するという目標を定めて、その点に集中して、対策を実行するということも大変有効です。

弊所では、お客様のご要望に沿った対策方法をご提案させていただきます。一般的な質問でも、具体的な案件についてのお問い合わせもお気軽に御連絡いただければと思います。

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