不使用取消審判について

商標権は、10年ごとに更新手続きを行うことにより、実質的には永久に権利を存続させることができます。一方、登録商標が、その指定商品・役務について、日本で継続して3年以上使用されていない場合、その商標を使用したい第三者が、不使用取消審判を請求することにより、その登録の取り消しを求めることができます。

不使用取消審判を請求された商標権者は、原則として、「登録商標の使用」を証明すれば、取消を免れることができますが、登録商標と使用商標が同一ではない場合に、取消を免れる「登録商標の使用」と認められるかどうかは、「社会通念上同一の商標」といえるかどうかが鍵となります。


登録商標の使用と認められる事例

①「明朝」と「ゴシック」や、「大文字」と「小文字」など、書体にのみ変更を加えた同一文字の商標

②「平仮名」と「片仮名」や、「平仮名・片仮名」と「ローマ字」など、文字の表示を変更するものであって、同一の称呼及び観念を生ずる商標

③外観において同視される図形からなる商標

④その他社会通念上同一と認められる商標

称呼及び観念が同一の場合の「平仮名・片仮名」と「漢字」の相互間の使用

・登録商標が二段併記等の構成からなる場合であって、上段及び下段等の各部の観念が同一の場合、その一方のみの使用

・「縦書き」とこれに対応すると認められる「横書き」の相互間の使用

駆け込み使用の防止

商標権者は、「審判の請求の登録前3年以内」の「登録商標の使用」を証明するのが原則ですが、その使用が審判の請求がされることを知った後であることを、請求人が証明した場合には、その使用について「正当な理由」がない限り、いわゆる「駆け込み使用」に該当し、取消を免れる「登録商標の使用」とは認められません。

 「正当な理由」としては、審判請求がされることを知る前からその登録商標について具体的な使用計画や準備をしていたこと(第三者への商標使用の許諾や商品の広告の作成等)が該当します。

事案の紹介

=:社会通念上同一の商標と認められる
≠:社会通念上同一の商標と認められない

  審判番号 登録商標 判断 使用商標 理由
1 取消2001-31067 めでたや MEDETAYA 「MEDETAYA」は,本件商標と称呼を同一にし,・・・「めでたい」の観念を同一にする。
2 取消2002-30417

玄庵
GENAN

玄庵 「GENAN」が,「玄庵」の称呼である「げんあん」をローマ字でそのまま表したものであることは明らかであるから,・・・使用していた「玄庵」の商標は,本件商標と社会通念上同一の商標ということができる。
 

3

 

取消2003-30884

 

DAN

 

 

多少図案化されているとはいえ「DAN」と認識することができる・・・,需要者が「DAN」以外を想起するものとは考えにくい。
 

4

 

取消2004-30723

 

 

 

HOP LUN

その表現方法に若干の差異があるとしても,いずれも「HOP」と「LUN」からなるものと認識され,「ホップラン」という同一の称呼を生ずるものと認められるから,出所表示機能自体に差異はない。
 

5

 

取消2000-31482

 

 

 

キャンベル

「キャンベル」の称呼からは,人名の「Campbell」,ないしアメリカ原産のぶどうを指称する「campbell」の語が存在するところから,使用商標「キャンベル」から,常に造語としての本件商標中の「Cambell」が想起されるのではなく,むしろ上記「Campbell」,ないし「campbell」の語が想起される。
6 平成11年審判第31349号 COMPATH コンパス 「コンパス」の称呼からは製図道具の「COMPASS」の語を想起するというのが相当であり,造語といえる「COMPATH」の文字を想起するとはいい難い。
7 平成9年審判第15182号 LIFECENTER ライフセンター 本件商標は・・・,特定の観念を有しない造語よりなるものと認められるから,その表音の使用をもって社会通念上同一のものということはできない。

 

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